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メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第049号 ’00−06−23★
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静かな人たち
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●前号、私の書き方のせいで、
ヘマするのは<L>群、<H>や<M>の人はいつもOK、と感じさせてしまった
としたら訂正。 そんなことはありません。 みんな人間、誤り多き存在ですから。
ただし、<行動の結果がトラブルにつながる確率は、心のバランスの良くない人に
おいて、より高い>とは言えるでしょう。
そういうネガティブな<打率>の高い人を少なくするように努めれば、トータルの
<打率>も下がるだろう。 そうなさってはいかが、という話のつもりでした。
人それぞれに個性や能力を秘めているわけですが、心のバランスの良い人は、それ
を発揮することによって、自分だけでなく相手にも、良い結果をもたらす率が高い。
一方、バランスの良くない人は、その反対になることが多い、、。
じゃ極端な話、<H>の人ばかりにしてしまえば、、、とも考えられますが、それ
ではまた、「仕事にならない」のだそうです。 <H>レベルの人なら問題が無い、
とは言えない、、、 今回は、その話。
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たとえば戦争の場面。 歩兵たちが塹壕に身を潜め、突撃の機会を待っています。
敵の抵抗はすさまじく、機関銃をバリバリ撃って来る、、、
「こりゃヤバイ。 出りゃたちまちハチの巣だぜ。 突撃する前に、大砲か空爆、
叩いておいて欲しいな、、」が冷静<H>的判断。 なのに何も無い。 そこへ
「トツゲキ!」の命令。 「え? マジかよ?!」 飛び出して行かない、、、
これじゃ戦争には勝てない。 「トツゲキ!」と来たら「ウオーッ!」(かどうか
知りませんが)、勢いよく飛び出して行かないと、ね。 もちろん、あらゆる要素
を含めて考えれば、たしかに<危険>です。 しかし、場合が場合。 考えるのが
先で行動したがらない兵隊ばかりでは、どうしようもない、、、
ところがたまたま、どこかから飛んで来た弾が隣にいた戦友に当たった。 即死!
これを見てカッとする。 「チキショーッ!」 で、前後の見境なく飛び出す、、
てなことはあり得ます。 それがキッカケで、敵の制圧に成功! となるかも。
* *
プラス面もマイナス面も見る、それがバランスの良さ、<H>的センス。 味方の
損害をなるべく少なくする方法は無いか、と考えている間、行動は無い。 考えた
けれど方法が無かった、となればなおさら行動には移らない。 それが、
カッとしたり、「これじゃヤラレル。 死にたくない!」、つまり生きたい! と
強烈に願う瞬間、<思考>の余地なく行動に移る、、、 そのように、
人間の行動は主に感情や欲求から生じるもの。 必ずしも知性からではありません。
感情や欲求がエンジンなら、知性や理性はブレーキ。 抑制に働くのです。
第46号に述べた<人柄>判別用の故F先生のグラフも、x軸に情動性、y軸には
欲動性。 しかし、<知性>の軸は、、無い。 人は理屈じゃ動かない、で。
従ってメンバーがあまりにも<H>ばかりだと、行動力に欠ける印象の集団になる
ことは避けられません。 通常、静かな人たち。 急には燃え立たないグループ。
* * *
これは
Rational Process の解説では滅多に語られない一面、でもある。 即ち、いくら理性的に考えたところで、得られるのは<判断>。 それは問題解決の
大切な要素ではあるが、判断が下れば問題が解決、というものではありません。
<作戦>はあくまでも机上の論。 いざ敵陣へ突撃すれば、最後は<白兵戦>。
血を流し、誰かは命を落とし、みな泥だらけのヘトヘトになる腕力の戦いです。
その大立ち回りはどう見ても<H>的でないが、それ無しでは勝利もあり得ない。
Rational Process は、<H>的作業<部分>の技法です。 そこに生じた
<判断>を誰かが実行しない限り、状況はそのまま、何も変わりません。
だから、人々の感情や欲望に訴え、行動を起こさせる必要があります。 即ち、
<動機付け>ですな。 (それについてはまたいずれ、としますが、)それを
十分にしないか間違えると、せっかく良いメンバーを揃えても、仕事の成果は
挙がらない、、、 まあ、アタリマエですけれど、ね。
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●「トツゲキ!」のたとえが
お気に召したとは思いませんが、とにかく条件次第、<H>は<M>や<L>
にもなるのです。 なら、その逆は? これは滅多に、またそんな短時間では、
起きません。 新しいバージョンのマシンで旧のデータを読むことは出来るが、
新バージョンでのデータを旧マシンで読むことは出来ない、、、 あの感じ。
必要なら<H>は、<M>や<L>を演じることも出来、無意識的に<転落>
することもあり、意識的に<挽回>することも可能。 しかし<M>は<H>
的には振る舞えないし、<L>となると<H>の心を察することも出来ない、、、
*
だから<H>を採れば安心、、 ええ、たいていはそうです。 が、何ごとに
も<例外>はある。 きわめて<劣化>が速い、とか、力を貸しても<挽回>
してくれない<H>というのもいるのです。 安心してはいられません。
第47号の薬缶(やかん)のたとえに加えますと、<大きさ>と<形>のほか
にもう一つ、<強さ>という要素があったのです。 材質か、板厚か、熱処理
か、で変わってくる<強さ>。 それが足りないと、、、
初めは<H>でも、何かの理由で一旦<転落>すると、戻らなくなってしまう。
1回の<クレペリン>では分からないタイプ。 サーモスタット屋時代末期に
チラホラ経験しました。 学卒者の<質>が低下し始めた、、 ようでした。
* *
採用試験の時点で、彼らは当然<学生>、いわば<遊び人>。 その状態では
<H>、だから採用するのですが、仕事させると次第にオカシクなる。 目線
や顔色で分かります。 ただちに故F先生に相談したところ、<クレペリン>
を取り直せというご指示。 さっそく実施すると、、、 なるほど、
前のと比べ、明らかに折れ線グラフが<崩れて>しまっている。 その原因は
たいてい<仕事>、プレッシャーで薬缶が歪んでしまうらしい。 とは言うが、
新人にそんな大量の<水>を注ぎ入れるわけ無いのに、、。 しかし、
<弱い>薬缶は、それにすら耐えない。 <クレペリン>で分かるのは<その
時点での状態>。 <遊び人>状態ではこの薬缶、形も大きさもOKだった。
さて、<仕事>状態ではどうか? それは仕事をさせてみないことには、、、
遺伝的素質か、成長過程での鍛錬不足か、原因は一様でないでしょうから、
対策も一律ではあり得ない。 F先生にアドバイスを頂いて職務など調整し、
適当期間経過の後<クレペリン>で確認し直す。 そのようにして本来性の
回復に成功したこともありました。 が、中には、<壊れて>しまったのか、
まるで快復しない人もいました。 ついには休暇を取らせて親元に戻したり、、
やがて元気回復、顔色も良くなって復帰する。 が、仕事を始めると、また!
日に日に萎れて行くばかり、、、
これはどうして? まさか変種? とお尋ねするとF先生、ちょっと困った
お顔をなさって、「まあ、生育歴がですねえ、、」と歯切れ宜しくなかった。
そういうのは結局、双方努めはしたものの、長続きはさせられませんでした。
つまり、<H>でもダメな時はダメ。 技法は万能ではあり得ない、と毎度
申しますが、それは
Rational Process だけの話ではないのです。
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●<H>群の良さを
言い換えると、「一を聞いて十を知る」。 あまり多くを語らずに済むので、
仕事場が静粛でした。
来訪者が「今日は休みかな?」といぶかったくらい。
組立作業が専門の女性パート社員まで静かな雰囲気。 しかし、強いてそう
させていたのではないから、普段気づきにくい。 たとえば他社で、陽気と
いうか騒がしいというか、<活発な>作業場を見て感じる違い。 大違い。
それが生んだ効果の一つ。 ちょっとどうかな?というきわどい判定の人は、
ともかく採用、としておく。 するとやがて、ご本人から申し出があります。
「どうも私、ここには合わないみたい、、」 「ほう、それは残念、、」で
円満退社。 お互いを尊重し合って、まことに平和的です。 それを
「良貨が悪貨を駆逐する、ということもあるんですねえ、、」と評されたり。
我田引水的に、これは力関係でなく、信頼関係で動いている組織なんだな、
と感じることしばしばでした。
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かなり後、<トヨタ生産方式>などで「人質管理」なる語が用いられました
が、それは故F先生が先。 商標登録もされたと聞きました。 「品質は
人柄の反映」と考えていた私には、まさにピッタリの技法であったわけです。
<問題>は人間が起こす、が第2号の表題。 <会社>は人間の集まりです
から、いわば<問題>のカタマリ。 いつ、何が起きても不思議ではない。
しかしそこにいて、なるべく問題を発生させず、効果的に仕事を進めるのが
管理職の役目。 それには<H>的運営を心がけるに限ります。 そのため
あなた自身、本来の資質を知り、絶えず磨きをかけなくてはいけません、、
と言うだけでは精神論。 だから実際的に、チェックには<クレペリン>、
磨くには
Rational Process 、と申し上げる次第。
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連日のマスコミ報道は、さながら日本沈没を予感させるようなものばかりです
が、ピンとキリの差がうんと開いてしまったのだ、と感じられるところもある。
なら、ピンであることに徹すれば、むしろ有利。 静かに勝ちを収めましょう。
正しく着眼し、正しい方法を用いること。 「おたすけマン」が手伝います。
■竹島元一■
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